新型軽EV、日産「サクラ」三菱自「eKクロスEV」今夏発売

日産自動車と三菱自動車は20日、共同開発した新型軽電気自動車(EV)、日産「サクラ」、三菱自「eKクロスEV」を今夏に発売すると発表した。満充電での航続距離を日常使いに十分な180㌔㍍(WLTCモード)とし、国の補助金を活用した実質購入価格を100万円台後半からと、軽ユーザーにも手の届きやすい価格帯に設定した。

カーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)の実現に向けEVを取り巻く環境が変化する中、両社の新型車がEVを本格普及の段階に導けるか注目される。

サクラは日産の量販EVでは「リーフ」「アリア」に続く3車種目で、EVラインアップにおける普及モデルの役割を担う。eKクロスEVは三菱自にとって、2009年に発売し、20年度で生産を終了した「i―MiEV(アイ・ミーブ)」以来の軽乗用EVとなる。

搭載するリチウムイオン電池の製造はリーフと同じ、エンビジョンAESC製を採用した。これまでのEV開発で蓄積したノウハウも活用した。電池容量は20㌔㍗時とした。

モーターは日産「ノート」4WD車のリアモーターを活用した。最高出力は47㌔㍗、最大トルクは195ニュートン㍍を発揮し、力強い走りを実現する。

駐車時の操作を支援する安全機能として、サクラには「プロパイロットパーキング」を日産の軽として初搭載し、eKクロスEVには「マイパイロットパーキング」を三菱車として初採用した。

アライアンスを組む両社は部品調達を共同で行うなど、協業関係を開発に生かしてコスト低減につなげた。国の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象で、55万円の補助を受けられる。

両社は新型軽EVを量販モデルとして投入し、電動化戦略を加速させることで国内のEV市場開拓につなげる。生産は三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)で行う。

メーカー希望小売り価格は、サクラが233万3100~294万300円、eKクロスEVが239万8000~293万2600円(いずれも消費税込み)。

日産と三菱自は同日、新型車発表会を開催した。グローバル本社ギャラリー(横浜市西区)で発表会を行った日産の星野朝子副社長は「リーフ、アリア、サクラの3車種がそろう今年を日本の電気自動車元年と受け止め、日本の電動化をさらに強めていきたい」と述べた。

三菱自の加藤隆雄社長はオンライン発表会で「カーボンニュートラルへの取り組みが求められる今、軽自動車をEVとすることは現実的で有効な手段だ」と意気込みを示した。

日刊自動車新聞5月21日掲載