中古車市場におけるコロナ禍からの回復基調が鮮明となっている。中古車情報メディア「カーセンサー」を運営するリクルートは25日、2021年の中古車市場規模が過去最大の4兆1699億円に達すると推計する調査結果を発表した。コロナ禍で落ち込んだ20年からの反動に加え、購入者の消費マインドの変化や新車納期遅延を受けた中古車需要の高まりも背景に、市場が大きく伸長した格好だ。
■単価上昇が市場規模拡大の要因に
リクルートが21年8月にインターネット上で実施した「中古車購入実態調査2021」によると、21年の中古車市場における購入費用総額は前年比21・3%増の4兆1699億円、延べ購入台数は同6・1%増の269万台。市場規模が4兆円に達したのは15年の調査開始以来初めてだった。
主な購入目的としては「通勤・通学用」が前年比1・0㌽減の40・1%で最多となり、「買い物などの足として利用」(同0・6㌽減の26・3%)、「レジャー用」(同0・3㌽増の18・0%)が続いた。
市場規模が拡大した背景にあるのが、中古車購入単価の上昇だ。21年の購入単価は前年比19・5万円高の155万円で、コロナ禍前の19年と比較しても11・4万円高と大幅に上昇した。
要因についてカーセンサーの西村泰宏編集長は「新車納期遅れの影響(で中古車市場に需要が流れたこと)は無視できないが、市場を構成する商品自体が高単価なものにシフトしていることも一因ではないか」と分析する。新車価格自体が上昇傾向にある中、中古車市場でも高単価商品の構成比が高まりつつあり、取引価格の上昇に拍車をかけているという。
実際に、20年調査では全体の24・7%を占めて最多だった50万~100万円未満の価格帯は、21年には3・2㌽減の21・5%に後退。50万円未満も同2・0㌽減の16・3%とシェアを減らした。一方で100万~150万円未満が全体の21・8%を占め、調査開始以来初めてトップとなるなど、単価上昇は鮮明となっている。
■若年層の消費行動が高単価化を牽引
中古車相場の高単価化を担うのが若年層だ。購入単価を年齢別に見ると、30歳代が前年比33万2千円増の181万4千円で最も高く、20歳代が同22万2千円増の162万9千円で続くなど、上昇幅は全需を上回る。
西村編集長は「80~90年代のスポーツカーに親しんだ世代の子どもが購買層になり、かつてのスポーツカーに惹かれる例は多い。こうしたクルマは希少化が進むにつれて単価も上がり、当時を知る人ほど手を出しづらいが、若年層は抵抗感なく買い求めている」と話す。
購入サイクルの短さも若年層の特徴だ。前回購入したクルマの乗車期間は50、60歳代が平均7・4年であるのに対して、20歳代は3・9年と、車検2回以内をめどに乗り替える傾向がある。「若者の間では、ライフスタイルの変化に応じて柔軟に乗り替える意識が加速している。
彼らが市場のマジョリティーになれば流通のサイクルも早まり、売り手と買い手の双方に恩恵が生まれるだろう」(同)と、新たな消費マインドの定着が市場活性化につながるとの期待は大きい。
今回調査を受け西村編集長は「コロナ禍が続く中での調査だったが、予想以上に良好な結果となった。市場は右肩上がりを続けており、向こう5年ほどはこの傾向を維持するのでは」と話す。