4~6月のドラレコ国内出荷台数 統計開始以降最多

電子情報技術産業協会(JEITA、綱川智会長)とドライブレコーダー協議会(JDRC、宮嵜拓郎会長)がまとめた2021年4~6月のドライブレコーダー国内出荷台数は、統計を開始した16年度以降で最多となる143万3516台だった。

前年同期は新型コロナウイルス感染拡大による消費低迷から100万台を割り込んだものの、20年7~9月期以降は出荷数が大幅に伸長し、四半期ごとに110万台を超える数字を記録し続けている。コロナ禍での自動車利用機会増加を背景に、エンドユーザーの危機管理意識の高まりや、事業者の安全運転意識向上が寄与している。

販路別の国内出荷統計は、前回(21年1~3月)の公表値と比較すると、業務用が19万7885台増の40万218台、一般消費者用が5万6111台増の103万3298台だった。業務用の伸長が著しく、統計を開始して以来最多の出荷台数を記録した。

足元では、人工知能(AI)を組み合わせた通信ドライブレコーダーが、事故削減の効果を生み出すとして事業者から注目を集めている。パイオニアは、クラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト」に対応する通信ドライブレコーダーの販売を強化。

画像解析AIが危険運転や、居眠りなどを検知し、運転者と管理者へ警告を促す。運行ルートの策定や走行データの集計などを自動化することで、両者の負担軽減に貢献する。

7月21日に、パイオニアモビリティサービスカンパニーの担当者が、ビークルアシスト未導入の事業者を対象としたオンラインセミナーを初めて開催した。

社用車の管理などテレマティクスデータの活用で業務を効率化し、取得したデータの活用例などの紹介で、導入を促した。「収集したデータから、事故につながらなかった運転の不注意なども発見でき、運転傾向の診断にも活用できる」(担当者)という。

ドライブレコーダーの機能向上が進み、より高性能な製品に買い替える動きも増えている。そのため各社は、特色ある新製品の開発に力を入れている。

慶洋エンジニアリング(山本浩社長、東京都港区)は、内蔵メモリー型のドライブレコーダー「AN―R092」を8月下旬に発売する。マイクロSDカードの代わりに64㌐バイトのeMMC(エンベッデッドマルチメディアカード)フラッシュメモリーを搭載し、振動などから発する故障のリスクを低減させる。

JVCケンウッドは、ケンウッドブランドから初となるルームミラー型ドライブレコーダー「DRV―EM4700」を発売した。「ミラレコ」シリーズと名付け、音声コマンド機能や、12㌅IPS液晶画面など性能面も充実させた。

近年、ドライブレコーダーの新車装着率が高まっており、各社は既販車向け製品の付加価値を競い合っている。社会問題化して厳罰化もされた悪質な「あおり運転」の抑止効果にもつながるだけに、今後もドライブレコーダー市場は伸長することが予想される。