国交省 自動運転「レベル4」対応法規要件、調査実施へ

国土交通省は2022年度、自動運転「レベル4」(自動運転車・限定領域)に対応する法規要件の調査を実施する方向で検討を始めた。対向車が迫る中での歩行者の飛び出しなど自動運転車が事故を回避できない場合に、システムがどのように判断すべきか、社会的な受容性を含めて調べる。

また、「あおり運転」などのイレギュラーな事象に対して、システム側がどこまで対応するかといった範囲も整理していく。国交省では調査結果を基に、法規やガイドラインの策定など必要な措置を講じる方針。22年度中には中間報告など一定の結論を示したい考えだ。

新たな調査事業の費用として2億円を22年度当初予算の概算要求に盛り込んだ。調査は国民に対するアンケートのほか、ドライビングシミュレーターを用いて実際のドライバーの判断データを集めることを想定している。例えば、衝突が避けられない場合に、対向車と歩行者のどちらを選ぶか人間の判断の割合を探る。幅広く国民の考え方も調べた上で、社会的に受け入れられるシステムを検証していく。

また、あおり運転や落石など通常は見られないケースに遭遇した場合、システムがどこまで安全を保証すべきかも、国民のニーズを踏まえてシステムが対応する範囲を検討する。周囲の車両や歩行者に対して、自動運転中であることの効率的な周知方法も調査していく計画だ。

日本は「レベル3」(条件付き自動運転車・限定領域)で世界初の認証を行ったが、運転者の関与度が下がるレベル4ではシステムに求められる要件が増えることは間違いない。国交省ではレベル4の実用化に向けた環境整備を急ぐことで、日本の自動車産業の国際的な競争力の強化にも貢献していく狙いもあるとみられる。